2018/12/24 14:27

新作の "Flip Up B Cap" merino wool のフィールドテストを12月初旬から改良を加えつつちょこちょこやっております。

その途中経過、現段階での仕様などご紹介させて頂ければと思います。


フィールドテストは自転車でのライド、及び東京近郊の低山でのハイクが中心です。
難易度の高い山にも挑戦したいですが、私の体力&スキル不足、また日帰りで行ける範囲という制約もあり東京近郊の丹沢山塊・高尾山周辺でのテストとなりました。


今回の"Flip Up B Cap" merino wool は従来の自転車での使用を軸に据えたキャップから、少しレンジを広げて、
今までより更に、

・普段使いし易く、どんな服装にも合わせやすい
・街でも格好良い
・アウトドア全般でも必要十分な機能を持っている


ウチの今までやってきた事の延長線上ではあるのですが、この点はよりフォーカスしてデザインしてあります。
フィールドテストでは3番目のアウトドア全般でも云々〜をテストして行きます。

12月4日、陣場山 → 高尾山 ~~~~~~~~~~~~~~~~~

この日がめちゃくちゃ暑くて。都内で23℃まで気温が上がったようです(異常気象、夏日との報道あり。)
登りでは大量の発汗。暫くすると帽子が汗で濡れてきます。
そこは流石メリノウール。汗での不快感は全くありません。

使用前にキャップは一度中性洗剤で洗濯、水通しをしてあります。

注※未使用の状態でのこのメリノ生地は、ラノリン(羊毛脂)による撥水が見られます。
単にお洒落着としてお使い頂くようでしたら、ドライクリーニング(洗濯表示"P"や"F")に出して頂き極力この撥水を残す事も一応は可能です。
メリノウールは比較的デリケートな素材ですので、ご自宅での洗濯は中性洗剤での手洗いをお勧め致します。

肝心の装着感は、

・非常に軽く、柔らかい。かぶり心地が良い
・汗をかいた時に不快でない
・ほっといても臭くならない(帰宅後放っておいても臭わない)

などメリノウールの特性は十分に活かされていることを実感できます。

ただ、
素材として普段使い慣れている COOLMAX®︎ や SUPPLEX®︎ を始めポリエステル混紡生地など化繊の速乾生地に比べると全くもって乾きにくく感じてしまうorz(相対的にそう感じてしまう)
天然素材とは本来こういうものだと思い知らされつつも、繊維業界の弛まぬ開発努力にただただ頭が下がる思いです。

空気の乾燥具合や気温によって乾きやすさは大分変わります。以前ウチの作業場でも生地の水通し・地直しをやっていた時に、よくベランダで生地を乾燥させてましたが、その時の実感からしても秋〜冬場はいわゆる洗濯指数(乾燥までの時間)はかなり低くなります。
こと生地の乾きやすさに関しては自転車で使用する場合は風の抵抗ですぐに乾いちゃうんですが、ハイクなどの場合は大分勝手が違うようです。

装着感はさて置き、若干修正の必要を感じるのは"汗で濡れた時の見た目"でしょうか。(汗で濡れても心地良いのが余計に曲者です。)
画像のようにどうしても汗を吸ったところの生地が黒く?濡れて見えます。
日差しの弱い冬場だと大量に汗をかいた登山後の車や電車の中でも乾ききらないケースが出てきます。
帽体パネル自体は張り合わせのない一枚生地なので比較的乾きやすいのですが、特に芯材と生地を合わせて縫い込んでいるつばが顕著でここはセカンドサンプルでの改良ポイントとなりました。

つばの中には形をキープする為に様々な芯材が縫い込まれています。
これ(芯材・縫製方法)を選定・検討しなおして再度フィールドテストを行いました。


12月9日、陣場山  ~~~~~~~~~~~~~~~~~
この日は平地10℃で乾燥した冬らしい1日となりました。
セカンドサンプルでは、候補の中から選んだつばの芯材2種類の比較をしていきます。

1. ポリエチレン芯材、固め。→ 汗を吸わない
2. ネル生地、不織布などを張り合わせて硬さを調整した芯材。 → 汗を吸う

今回採用したメリノ素材の組成は、メリノウール100%よりも比較的乾きやすい、ナイロン&PU混紡生地にしました。
※(メリノウール 85%、ナイロン13%、ポリウレタン2%)



結論から言うと "2" の汗を吸うネル張り合わせ芯材を採用する事にしました。

前回からの流れだと汗を吸わない方が生地が乾きやすくていいんじゃないの?
と、思われるかも知れませんが "1" の芯材の場合、汗を吸収しにくい分、おでこから顔に汗が流れてきて汗を拭う回数が多くなったように感じました。
私は眼鏡を掛けているのですが、眼鏡を拭いたそばから汗の水滴がしょっちゅう付くのにストレスを感じます。

あと、このモデルはサイクルキャップみたいに、つばの跳ね上げ・下ろしが出来るモデルなのですが、"2"の芯材の方がよりスムーズに上げ下げが可能だった点も重要です。このあたりは芯材の微妙な硬さの違いと生地との兼ね合いなどが関係しています。
パターン・つばの内ぐりのアールや芯材も込みで上手く跳ね上げ・下げが出来るようにしていますので、微妙な差でもスムーズに出来るかが重要なポイントとなります。

自転車では勿論の事、山の中でも枝をよける時や日差しの具合で上げ下げしたりと車の座席のサンバイザーのような使い方が出来ます。
自分でもあまり意識せずに直感的につばの上げ下げをしていたので、これは山でも案外使える機能だと思います。

最終的に「つばが汗で濡れた時の見た目問題」は、生地の色を変更する事で目立ちにくくする方向で解決を図る事にしました。
後、内側の汗止めはお馴染み COOLMAX®︎ を今回も採用しています。帽子本体よりもいち早く乾きます。苦笑
生地の色変更後にサードサンプル。

12月21日、塔ノ岳 → 丹沢山 ピストン  ~~~~~~~~~~~~~~~~~
この日も平地9℃前後快晴でした。


大倉のバカ尾根でじわじわ汗をかきます。
午前中や山頂ではやや肌寒さを感じましたが、メリノウールの効果もあってか汗冷えは全く感じません。
汗冷えしないのは有難い。
頭が寒いとかホント勘弁して欲しいです。

画像の通り、汗跡対策としてつばをネイビーに色を変更しました。ついでにバランスをとって天ボタンもネイビーに。

帽体に汗が浸透しているのが確認出来ます。
実際はつばはかなり濡れています。この時汗を吸って芯材が柔らかくなりますが機能的には問題ありません。
乾くと元の硬さに戻ります。

塔ノ岳を超えてから北側の尾根は霜が多く、昼頃には溶けて登山道がぬかるみに。


改良後のサンプルは非常に調子良く、つばの方に汗が吸われて行きますので帽子パネルも若干乾きやすくなったように感じます。

ちなみにここまでのテストを踏まえて現時点で製品に採用されるであろうカラーの展開は、

1. Black (全体が黒)
2. Brown × Navy (パネル → ブラウン、つば&天ボタン → ネイビー)


の2色にしようと思います。
以前SNSに上げたサンプルと色が変わってしまいましたが、イベントでは変更後の方がむしろ評判が良かったです。
Brown × Navy のコンビは我ながら気に入っています。

ネイビーに変更したつばは汗で濡れていても見た目にはほとんど変化なし。
ここまでは予定通りです。
下山後、鶴巻温泉に寄ったのですが、その時には完全に乾いていました。

発売は当初の予定通り来年1月中でオンタイム進行中です。
薄手のメリノウール生地ですので、来年はスリーシーズンかぶり倒します。