2019/01/22 23:54

今日は帽子本体に使う生地のお話しです。



最近、ナイロン生地で帽子を作りたいというご要望が増えています。

そういった(多分)局地的トレンド傾向や、現在の国内生地メーカーの最新生地に関して思うところを今日はお話ししてみようと思います。


まずそもそもサイクルキャップで普段使われる生地というと、、、
素材としてはスタンダードなコットン100%(ツイル・カツラギなど)をはじめ、多少の機能面まで考えると、
コットン100%に比べ乾きが早いポリエステル混紡生地(通称T/C) などを使われる事が多いです。(T/C、T → テトロンは商標です。同じ組成、同じ混紡率の生地が複数メーカーで生産されているスタンダードな生地です。生地自体は必ずしも速乾・吸汗をうたっている訳ではないく、どちらかと言えば生地のシワになりにくさや、堅牢性、発色の良さなどが特徴です。ただ実験してみるとコットン100%よりも速乾性に優れている為、一応速乾生地として扱われる事が多いです)
そもそも従来のナイロン100%やナイロンの混紡率の高いものは汗抜けの悪さや熱籠りを考えると敬遠しがちです。
それもそのはずで多くのナイロン素材はシェルジャケットやアウターなどに求められる要件を満たすよう作られているわけで。
防水に加え透湿性の高いものもありますが、速乾や通気性、吸汗性などに関してはあまり得意な素材ではないだろうと思ってました。
これは知識の足りない私の先入観もあったかと思います。
(今後、実際にテストをしながら比較して行きますが、恐らく吸汗・速乾は過度には期待しない方が良いと思っています。アウターシェルにベースレイヤーの性能を求めるようなものかも?知れませんので)


アウトドア系のウエアやギアなど高機能性ナイロンが増えてきた事もあり、自転車業界以外のお客様は、こう言ったナイロン&ナイロン混紡生地を積極的に採用する傾向があるように感じます。冒頭で"局地的"と言ったのは正にこう言ったアウトドア界隈からの流れです。



そのような方面からのご要望もあり、生地メーカーさんのショールームを回って色々とリサーチして来ました。

高機能性ナイロン生地の新作で面白そうなものがいくつかありました。
質感も含め良さそうです。←ここが重要だったりします。
化繊特有のテカリがなく天然素材に近い風合いのものが多くリリースされているように感じました。

この辺りの生地は今後、弊社オリジナルやODM案件でも採用する事になるかと。
後日またご紹介する事になりそうな予感がします。



↑ポリエステル生地でも興味深いものがいくつか。
ポリエステル混紡は、安定の速乾生地のバリュエーション。接触冷感もチラホラ。



ところで、
化繊系はこのところ納期が安定しません。人気のある生地は気が付くとあっと言う間に無くなっていたりします。リピートが入って来ないみたいですね。

メディアなどでご存知の方も多いかと思いますが、大陸の方の某国の環境基準規制に関するゴタゴタで、だいぶ、というか相当国内の繊維工場も影響を受けています。これはアパレルだけでは無く様々な産業に波紋が広がっているようです。

サスティナブルという言葉が叫ばれて久しい昨今、なるほど身近なところで「こう言うことか」と感じられる一件でした。

ウチ(velo spica)のスタンスとしても、国内で、かつ可能な限り身近な自分達のローカルで、関わる誰もが無理なく、継続して、楽しんで、モノを作れるのが一番だと考えています。そこにはほんのちょっとだけ環境負荷に関する意識も持ちつつ、です。




↑これとかタフさ重視のメッセンジャーさんとかに良さそう。
クールマックス × コーデュラとか普通にヤバい。

今後自転車向けのスタンダードなサイクルキャップのデザインと素材見直しをしようと思ってましたので、
今回のリサーチを反映したサンプルを作ろうかと思ってます。
お楽しみに!!