2019/04/19 12:20

先日の続きです。



" 製作の裏側や実際どんな事ができるか"
、、、その前にブランドやメーカーはどういう流れでサイクルキャップをオーダーするの?っていうところからお話ししていきます。
大まかに3パターンあって、⑴サイクルキャップ専業メーカーにオーダーする場合、⑵サイクルジャージーなども生産しているサイクルアパレル全般を扱うメーカーさんにオーダーする場合、⑶帽子屋さんにオーダーする場合、があります。


⑴に関しては、国内で製造してる専業メーカーはほぼ無いので海外の話しが中心になります。
海外のサイクルキャップメーカー(やサイクルジャージーメーカー)のほとんどは、自社でストックしている何種類かの生地やパターンからカスタマーが希望のものを選んでオーダーします。当然生地・パターンともに選択肢の自由度は低いです。セミオーダーといった感じでしょうか。


柄のプリントに関してはデザインデータを送って色々なものが作れますが、基本的に同一の生地を使用しています。
メリットはもちろんあって、同一の生地を使用することで安価に抑えられます。これはミシンの糸調子や抑え圧などを変えずに基本的にワンラインで複数のオーダーをまとめて製造が可能になることによるスケールメリットです。

アメリカのワ◯ツやイタリアのア◯スなどがこのスタイルです。



ここで一旦ちょっと別のお話しを。

周りの自転車屋さんからも言われることがありますが、ピストが流行った時代にハンドメイドのサイクルキャップブランドは国内外問わず今よりも多くありました。メーカーとさえ言えないような個人規模のブランドがいくつもあり、それらはアウトドア界隈でいうところのMYOGに感覚として近いものだったと思います。
根幹にあるのは "Do It Yourself" な精神。パンク?あるいはハードコアなマインド。


私が勝手に師事している(恐れおおくも。すいません)ブランド resistant さんも始めはそんな感じらしく...壊れた配達用バックの修理はどこもやってくれないし、販売元の海外のメッセンジャーバックメーカーまで出すと時間がかかり過ぎるから自分でバックを修理するところからスタートしたらしいです。


そんな Do It Yourself  (MYOG)の精神からスタートしたという出自を持つメーカーも、結局のところ生き残っているのは、合理化・量産化が可能なスタイルを実現出来たメーカー群(1)のみです。


正直、
それについて別に悪いとは思いません。
それによって面白いサイクルキャップメーカーやカルチャーが残っている事の方が価値があるように思います。

こうしたハンドメイド ⇆ 量産化、ハンドメイドへの拘り、インディペンデントの価値や意味など、思う事・言いたい事は山ほどありますし、逆に色々と言われる事も多々あります。が、ここではこの位にさせて下さい。



閑話休題。

(2)はサイクルアパレル・グッズ全般を作っているような比較的規模の大きいメーカーで、中国やアジア圏など海外に生産拠点を持っている事が多いようです。こちらも(1)同様で、ジャージーなどと合わせて製作可能ですが、生地やパターン、プリントに関しても基本ベースは同じものを使って作っているようです。

サイクリストにとっては定番の形を安価で作れるので、既にそのメーカーさんのジャージを使っている人にとっては必要十分かもしれません。


(3)は、帽子職人さんや工場さんと打ち合わせや指示書を使ってやりとりするやり方です。 

(1)、(2)に比べるとものづくりの自由度は上がりますが、職人さんや工場さんはサイクルキャップを決して作り慣れているわけではありませんので、思った形や細かい仕様など擦り合わせ行くのに労力とコストが必要となります。

現在、"velo spica international" は主に東京の職人さんに協力してもらって作っています。

ですのでウチの場合は、(1)+(3) に一部ハンドメイドを合わせ、"それぞれの良いとこどり"を目指してやっています。


この事については、"velo spica international"をスタートさせた初回のブログ「新コンセプトライン "velo spica international" がスタートします。」でもご紹介させて頂きました。ご興味がある方は、ご覧下さい。


"それぞれの良いとこどり" をすることで、多様化するニーズ、めまぐるしく変わるトレンド、そして様々なシーン、...それに合わせられる柔軟さを持ちつつ、ある程度小回りがきき、かつ高品質のものづくり継続的に出来ると考え、今に至ります。


さて実際にうちではどんな風に製作を進めて行くかというと、、、

まず最初にクライアント様から商品のざっくりしたイメージやどんな使い方(山?街?バイク?ラン?ハイク?etc.)をするかを伺います。

※ちょっとした思い付きでも大歓迎ですのでご相談下さい。

次にそれに合った生地やパターンをこちらから提案させて頂きます。

(ちなみに他がやってない、前例がないものでも面白そうなら実現する為、生地や付属パーツメーカーさんを回って探す事も多々あります。)


更にそこに加えてブランド/ショップ様のブランドイメージや雰囲気にあった帽子のスタイルやグラフィックなどを合わせ完成形の絵型→サンプル製作に入ります。

どういったシーン・フィールドで使用するかを考え(もしくは実際にお客様と一緒にテストしながら)素材や形など全体のデザインをそれぞれにあったものに合わせ少しづつ詰めて行きます。


帽子のスタイル・パターンは、完全ゼロベースでオリジナルを作る事も可能ですが、velo spica で実績のあるパターンをベースにサイズやバランスを変えて作るのがお勧めです。

SNS等でもコラボ・別注など色々なところとやらせて頂いてますので、そちらをご覧頂けると分かり易いかと思います。


相手ブランド/ショップ様の "ブランドイメージ" や "やりたい事" を帽子を通して上手く表現出来れば最高です。

本当に作り手が楽しい・かっこいいと思うモノを形にしてユーザー様に届ける。

この一連のクリエイションが堪らなく面白いです。


皆様も『こんな事出来るかな?』『こんなのあったら面白い』などありましたらお気軽にご相談下さい。